LAS Production Presents

 

 

 

Soryu Asuka Langley

 

in

 

 

 

starring

Shinji Ikari

 

and

Mana Kirishima

as Charming Girl

 

 

Written by JUN

 


 

Act.3

ASUKA 

 

-  Chapter 3  -

 

 

 

 この章では、エッチな展開に入っていきます。文章上には18禁になるようなモノは盛り込みませんが、
 伊吹マヤちゃん的潔癖な方には刺激があり、または葛城ミサト的××な方には物足りないという中途半端なものになっています。
 まあ、私の書くものですから、内容Rでありながら実質中学生OK程度でありましょう。
 と、一応但し書き。

 

 

 

 

 

 シンジは走った。

 がらりと扉を開けると、中には誰の姿もなかった。

 よかった。まだ帰ってきてない。

 シンジはしっかりと鍵をかけると、ベルトを緩めた。

 右掌のぬくもりが残っているうちに…。

 

 僕って最低だ…。

 後始末をしながら、シンジは自己嫌悪に陥っていた。

 アスカと出会ってから、彼女をおかずにしたことも、その行為自体もしていなかった。

 それが今爆発してしまったのである。

 シンジは掌を見つめた。

 ああ、ダメだ。

 まだ感触が…。

 アスカの乳房の感触が掌に残っている。

 二人とももう少しでいいから帰ってくるなよとシンジは願うのだった。

 

 碇シンジも17歳である。

 彼を責めることはできない。

 むしろよく我慢した方である。

 ここへ来てから一度もしていないのである。

 何度もその行為に取り掛かろうとしたのだが、その都度邪魔が入っていたのだ。

 

 あれから30分後、シンジは窓際の椅子に座ってぼんやりと外を見つめていた。

 換気のために窓を開けた。

 涼しかった室内に外から熱気があっという間に侵入してくる。

 一気に外気温と同じになってしまい、シンジの身体も汗がじわっと染み出してきた。

 しかし、逆に身体の火照りはどんどんおさまってきた。

 シンジは溜息をついた。

 蝉の声が煩い。すぐそばの木にいるようだ。

 街ではよく夜に蝉が啼くのを聞いたけど、ここでは初めてだ…。

 こんな田舎でもおかしくなってる蝉もいるのだと、シンジはふと思う。

 僕もここに来て…アスカに会ってからおかしくなったのかも…。

 そこまで考えて、キョウコが言った事を思い出し、シンジは吹き出してしまった。

 三歳の時に可愛いからとアスカにキスをした自分。

 まったく覚えてはいないが、本当にしたことだと何故か納得できる。

 そんなときからアスカに首っ丈だったのかもしれない。

 じぃこ、じぃこ、じぃこ、じぃじぃじぃじじじじじぃっ!

 一声高く啼き上げて、蝉の声がピタリと止まる。

 一瞬、周りの音がすべて消えたようにシンジには感じられた。

 そして、すっかり忘れていた財布の中のたった一つのゴム製品のことを痛烈に意識し始めたのである。

 シンジはポケットから財布を出した。

 その中に納まっていたものを取り出すと、一気に封を破った。

 てらてら光る醜悪なゴムに口を当てると顔を真っ赤にしながら息を吹き込む。

 だんだん風船のように大きくなっていき、はちきれそうになる。

 これが野球場の風船なら手を離したら空へ飛んでいくのだが、

 これの場合は手を離すとぼふぼふという音と共に空気が抜け、床の上にべちゃんと落ちた。

 床に落ちたそれは、自分の一部が萎えてしまったのを想像してしまうような形をしている。

 シンジは苦笑すると、袋と中身をティッシュに包みこんでゴミ箱に捨てた。

 たったひとつしかないものを処理したということは、彼の決意が並々ならぬものだということになるだろう。

 アスカを心の中で汚してしまったことへの後悔が、シンジの彼女への想いを“好き”から“愛”へと変貌させたのだ。

 

 その後、ケンスケが、そしてトウジが帰ってきたとき、シンジはほとんど何も喋らなかった。

 それはあとの二人も同様だった。

 何があったのかシンジにはわからなかったが、黙っていてくれているのはありがたかった。

 今夜は、アスカへの想いを抱いて、静かに眠りたかった。

 

 

 そのアスカは…。

 眠れなかった。

 もう午前3時を過ぎている。

 マナとヒカリはもう眠っているようだ。

 身体が熱くて、頬も火照っている。

 だが、汗はかいていない。

 空調が程よく効いているのだから、寝苦しさはないはずだ。

 しかし、眠れない。

 眠れないままにアスカはシンジのことを考えた。

 アイツが私のフィアンセ…。

 馬鹿にしてる。

 私が結婚する相手は…わからない。

 じゃ、付き合ってもいい相手ってのは…それもはっきりしない。

 アスカは苦笑した。

 ま、馬鹿シンジじゃないことは確かよね。

 ほんと、三歳のいたいけな可愛い私に強引にキスしただなんて…。

 しかも、全然悪びれずに“可愛いからキスした”だなんて…。

 はん!今でもそれくらいのこと言えばいいのに、あの朴念仁が。

 あ〜あ、それにしても暑いわねぇ。

 アスカはエアコンを睨んだ。

 風は出ている。

 どうして眠れないんだろう?

 結構歩いたし、慣れない浴衣で疲れてるはずなのに…。

 ふぅ…暑いよぉ…。

 アスカは火照った身体に風を送ろうと、襟元をはだけた。

 あ、ちょっと涼しい。

 あれ……?

 アスカははだけた胸元を覗き込んだ。

 いつもと違う…。

 変…変よ。

 どうして?

 どうして、いつもと形が違うんだろう?

 アスカは無意識に右手の指先を胸元に滑らせた。

 

 

 アスカは自分の拳を見た。

 豆球の僅かな灯りでも、てらてら光る唾液とくっきりとついた自分の歯の痕がその白い拳に見える。

 思い切り噛みしめてないと、声がマナたちに聞こえてしまっていたからだ。

 それでも最後に出た言葉は漏れてしまったかもしれなかった。

 確かにアスカは彼を求めて、『シンジ』とその名を呼んだ。

 その後、波打つ胸と息もし辛いほど乱れた呼吸を静めながら、アスカは耳を澄ました。

 マナの健康そうな寝息とヒカリの静かな寝息が聞こえるだけ。

 いや、窓を打つ雨の音が微かに聞こえる。

 雨が降ってるんだ…。

 アスカは自分がわからなかった。

 正直言って、こんな行為は初めてではない。

 中学2年のときに3回だけした事がある。

 クラスメートが話していたことに興味を覚え、好奇心から自分もしてみたのであった。

 確かに気持ちは良かった。

 しかし、ただそれだけである。

 彼女たちが言っていたような“癖になる”ことはない。

 自分がおかしいのではないかと、その後2回試してみたのだ。

 だが、最初の時と全く変わらない。

 ただ気持ちが良くなるだけ。

 アスカはその行為自体に興味を失った。

 そして、3年。

 直接触って確認していないが、はっきりとわかる。

 アスカが濡れている。

 あの時、さんざん弄ってやっと少し濡れただけだったのに、今は違う。

 触っていたのは左の乳房だけだったのだ。

 それなのに、こんな風になってしまった自分の身体が怖い。

 しかも、そこを触ってみたくて仕方がない。

 その気持ちをアスカは必死に押えている。

 間違いなく、声が出る。

 ヒカリやマナにこんな事をしているのを知られたくない。

 結局、アスカは一睡もできなかった。

 その間、彼女の心から離れないのは、シンジのことだった。

 我を忘れていたあの時も、シンジの顔が頭にちらついていた。

 そして乳房を触っていたのは彼女の手ではなく、それはシンジの手だった。

 彼の手の感触を求めて、アスカはその手を動かしつづけていたのかもしれない。

 ともあれ、今のアスカは心の中の罪悪感と、身体の内から沸き起こってくる欲求と精一杯戦っていた。

 いや、戦っていたというのは正確ではない。

 もし、これが自分の部屋なら…。

 もし、ヒカリとマナがここにいなければ、アスカは躊躇わずに身体が求めるがままに指を動かしていたことだろう。

 

 夏の朝は早い。

 雨が降っていても、カーテン越しの光が強くなっていく。

 アスカはその光が恨めしかった。

 うつ伏せになったまま枕を強く抱きしめて、アスカはひたすら耐えつづけた。

 

 

「アスカ。じゃ、私たち大浴場行くからね」

「アスカも行こうよ」

「もう…行きたくないのを誘うことないの。30分…いや1時間は帰ってこないからね」

 アスカは壁際に蹲っていた。

 寝間着のままで。

 まだ何か言いたそうなヒカリの背中を押すように、マナは廊下に出た。

 そして、階段の手前で立ち止まる。

「マナ、どうかしたの?」

「しっ!」

 マナは出てきたばかりの自分たちの部屋の扉を見ていた。

 かちゃっ。

 躊躇うような小さな音を立てて鍵が閉まる。

 その音にマナはニコリと笑った。

 そして、小声で「行こうか」とヒカリに囁いた。

 ヒカリは首を傾げながら、閉ざされた扉と、マナの背中を見比べた。

 わけがわからない。

 

 そのわけはお風呂の中で知らされた。

 大浴場といっても、銭湯よりも小さい。

 マナは泳ぐように湯船を移動しながら、ヒカリと話していた。

 別に温泉旅館ではないのだから、さすがに朝早くでは他に入湯客はいない。

「えぇっ!ヒカリ、本当にわからないの?」

「うん…何だったの?」

「あのさ、夜中の…アスカ。わかってたでしょ」

 マナが軽く言うと、ヒカリは顔を真っ赤にして、そして頷いた。

「いくら声を抑えてたって、さすがにわかっちゃうわよね?」

「う、うん」

 ますます顔を赤くするヒカリ。

「でもびっくりしたぁ。アスカがあんなことするなんて」

「そ、そうね」

「アスカってさあ、凄く健康的って言うか…子供って言うか」

 マナはくすりと笑った。

「私、気付いてるのを気付かれないように苦労したわよ」

「でも…あの寝息はわざとらしかったんじゃない?」

「いいわよ。アスカ全然気付かなかったしね」

「で、どうして、お風呂にアスカを誘わなかったの?」

「あれ?まだわからない?さすが潔癖症の委員長」

「わ、私、潔癖症じゃないわよ」

「ふ〜ん、そうなの?まあいいわ。だって、私たち友達じゃない」

「はい?」

「アスカを一人にさせてあげたかったのよ」

「?」

 ヒカリはきょとんとしている。

 その様子を見て、マナは顔色を変えた。

「ねえ、冗談抜きで、その意味がわからない?」

「うん…」

「本当に、わからない?」

「うん」

「やっぱりヒカリは、いい子ちゃんね。思う存分させてあげたかったのよ。色ボケアスカに」

「え……、あっ!そ、それは…」

 慌てるヒカリ。

 ニヤニヤ笑っているマナは、大きく伸びをした。

「だって、ほら左の拳見たでしょ」

「歯形?」

「一生懸命隠してたけどね。声出さないようにずっと噛んでたんでしょ」

「マナって…」

 ヒカリが軽く首を振った。

「何?」

「結構、マナって注意力あったんだ…」

「うっ…、何かそれって、いつも私がお馬鹿のような感じに聞こえる」

「ごめんなさい」

「ふふ、それにさ、アスカってば、最後に『シンジっ』なんて言っちゃってさ。

 もう…バージンなくしちゃったら、あんなにいやらしくなっちゃうんだ」

「えっ!」

「わっ、びっくりした。そんなに大声出さないで。響くんだから、ここ」

「で、でも…。アスカ…しちゃったの?」

「私の長年の経験と勘から見て…」

「えっ!マナも経験済みなの?」

「何が?」

「だって、今長年の経験って」

 ざぶんっ!

 ヒカリの指摘にマナは一瞬沈没した。

 すぐに浮かび上がってきたマナは真っ赤になっていた。

「ち、ち、ち、違うわよ。私未経験よ。マッサラなんだから」

 両手を振って必死に否定するマナ。

「それじゃ、当てにならないんじゃないの?」

「ううん。間違いないわ。アスカはもう処女じゃない」

 

 間違いである。

 マナは大きな誤解をしていた。

 経験をしたから、あんなことをしたのだと。

 もちろん、アスカは未経験者だ。

 ただ、たった一人きりの部屋で身体の火照りを静めている彼女は、少女から娘へと変わりつつあった。

 しかし、マナの考えているように単純なことではなかっただけに、アスカの心は揺らいでいたのである。

 これまでに性的経験が乏しかっただけに、自慰行為に溺れている自分の姿があさましく思えて仕方がなかったのだ。

 しかも、誰もいないことをいいことに、何度もシンジの名前を呼び、快感の波に身を任せてしまった。

 中学の時とは比べ物にならないほどの気持ち良さ。

 いつの間にか、彼女は全裸になっていた。

 寝間着が身体に纏わりついて、動きにくかったのだ。

 自分の指をシンジの指として思い描き、自分の身体を触った。

 その身体のあちらこちらがこんな鋭敏な反応をするなどとは、彼女は想像すらしていなかった。

 何度も何度ももう止めようと思っても、指は言うことを聞かない。

 いや、指を動かしていたのは自分自身に違いない。

 アスカの中に二人の自分がいる。

 快楽に溺れるアスカと、その姿をあさましいと思うアスカ。

 だが、そのどちらのアスカもシンジを求めていることに変わりはなかった。

 それだけは、はっきりとアスカにもわかっていた。

 

 シンジが欲しい。

 その身体も心も、すべて。

 

 そして今、アスカは服に着替え、壁に背中をつけて蹲っている。

 寝間着は汗でぐっしょり重たくなっていて、もう一度着る気にはなれなかった。

 心の中は自己嫌悪で一杯だ。

 あんな行為に我を忘れて没頭したこともそうだったが、何よりもシンジを相手に思い描いて自慰をしていたことがアスカを落ち込ませているのだ。

 誰かを相手にイメージしてするものだということも知らなかった彼女だ。

 膝を抱えたアスカの耳に雨音が聞こえる。

 しとしとしと…。

「はぁ…」

 アスカは目を瞑った。

「シンジ…」

 声に出すと思いがつのる。

 シンジに会いたい。シンジの声が聞きたい。シンジと一緒にいたい。シンジと…キスしたい。

 アスカの顔が歪んだ。

「シンジぃ…」

 シンジへの恋心は急激に発生したわけではない。

 以前から心の底で好意を持っていたのが、突然自覚しただけだ。

 ただし、その引き金になったのが自慰行為だったことがアスカを苦しめている。

 シンジに対して肉欲感情を感じているだけだと自分で誤解しているのだ。

 そんな自分などシンジに嫌われてしまう。

 嫌われたくない。シンジに嫌われたくない。

 そんな思いが満ち溢れていた時、突然扉が叩かれた。

 とんとん。

「ひっ!」

 アスカはびくっとした。

「だ、誰…?」

『僕です。アスカ、だね?昨日の事を謝りたくて』

 あ…!

 シンジ!

 アスカの顔が一瞬輝き、すぐに沈んだ。

 いつものようなおどおどしたところがなく、はっきりと喋るシンジ。

 アスカへの想いが浄化され、純粋にアスカのことを愛しはじめた彼である。

 まず昨日の無礼を詫びて、それから自分の思いを素直に伝えようと考えたのだ。

 アスカに受け入れられるとは思っていなかったが、とにかく好きだと言いたい。

 だが、今のアスカにシンジの言葉を読み取る余裕は少しもなかった。

 アスカは顔を覆った。

「いやっ!帰って!会いたくないっ!」

 思わず出てしまった叫びだった。

 シンジには会いたいが、こんな顔を見せられない。

 きっと淫蕩な顔になってしまっているに違いない。

 扉の向こうは沈黙している。

 その静けさにアスカは自分の言葉の意味に気付いた。

 これでは、昨日のことを許さない。だから会いたくないということになってしまう。

 違う!そんな意味じゃない。

 アスカは青ざめたが、彼女は言い直す言葉を持っていなかった。

『わかったよ。とにかく…昨日はごめん。僕は…いや、これは直接会って言うよ。じゃ…』

 シンジが行ってしまう。

 何か言わないと…。

 しかし言葉は出てこない。

 何を言ったらいいのか皆目わからない。

 アスカは再び顔を覆った。

 涙が溢れてくる。

 もう、ダメ。きっと誤解された。シンジは私のことを嫌いになる。

 私はこんなにシンジのことを求めているのに…。

 でも、それはこの肉体が、じゃないの?

 違う。私はシンジを好きなんだ。心から好きなんだ。

 それなのに、私の身体は……。

 アスカの意識は再び螺旋の軌道に乗ってしまった。

 降りしきる雨の中、アスカは一人閉ざされた意識の中にいつづけるのだった。

 

 

 

 

TO BE CONTINUED

 


<あとがき>

 アスカ編その3です。

 ああ、ついに書いてしまいました。これって、R指定なんでしょうか?期待しすぎていた人にはごめんなさい、ですね。

 私が中学の時はこういう小説が中学生向けの本に掲載されていたんですけどね。大人向けでは結構名前の知られた作家さんが、いつもより描写をかなり抑えて書いていたのですが、僭越ながらそれに習いました。

 モロにRにしては、それが売りの作品になってしまいますから、私は書きません。

 マナって耳年増…、って設定にしてしまいました。EVAキャラ(若手)の中でそんな感じなのは彼女とケンスケくらいですからね。

 

2003.10.26  ジュン

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